新しい建築の取り組み

現在、「脱炭素化」という新しい取り組みに世界が動きはじめています。建築においてすぐに取り組む課題は、省エネ問題です。見た目だけの素材感で建築を創造するだけでは済まない時代が来ています。素材の断熱性や透湿性能などを数値化して判断する視点が不可欠になっています。
また一方では、自然素材にはばらつきがあり、数値だけで判断してはいけない性質があります。材独自の性質に合わせて使いこなす技術が必要です。
それぞれの自然素材の特徴を把握できているのは毎日素材を扱っている専門の職人です。新しい自然素材の仕組みを考えていくには、職人、設計者、クライアントが連携しなければいけないと考えています。


自然素材の考え方

素材の円環


建築材料は、すべて大地から取り出したもので、すべて自然素材といえます。しかし人間が生活するうえで害であるものとそうでないものに分けられます。古代から使い続けた建材は木、石、草、土が主な原料です。きわめて自然な材で安全といえます。(黒字の素材)
そのあとに登場するのがレンガ、タイルや漆喰で火を使った建材です。建物の耐久性を維持するために屋根や外壁に使われています。いわゆる自然素材と考えていいのはこの2つの範囲だと考えます。これらの材料を扱うのは、日本では大工と左官ということになります。自然素材を考えていくには2つの職方を念頭にデザインをすすめなければいけないと考えています。
また、日本の伝統的な建物を例にしても、すべて木でできているわけでなく土、石、草(紙)など多様な素材を取り込んで作られています。これらの自然素材を考えていくうえでどうしても考えなければいけないのは
「新建材」と呼ばれる石油系原料を組み込んだ建材です。様々な自然素材の上に施されている接着剤や塗料などです。どこまでがこれらの建材が我々の環境に適合しているものであるのか勉強し、判断していく必要があります。


素材の変遷

素材の変遷年表
ざっくりした年表ですが言いたいことは以下の通りです。
  • 古代から近世まで画期的な建築素材は出てこなかったこと。
  • ローマ時代にローマンコンクリートという形でコンクリートがすでに発見されていて、ローマを中心都市とした巨大都市が生まれたこと。しかしその後コンクリートを使用した建物は20世紀になるまで生まれなかったこと。
  • 20世紀に入り火力を用いた建材として「鉄」と「ガラス」が登場して建築の様相が変わったこと。「鉄」と「ガラス」そして「近代コンクリート」によってさまざまな空間を生み出し、建築デザインにおいてモダニズムを生み。都市の構造を大きく変えていったこと。
  • 1950年代からいわゆる石油を原料とした新建材が世の中に出始てきてたこと。単体の素材と登場するものと塗料や接着剤として広く建材に混れたものに分けれ現在も使用していること。
  • 石油を原料とした建材はまだ50~60年しかたっていない。
  • 21世紀に入り「新建材」に健康被害が報告され、ホルムアルデヒド等の人体に害を及ぼす薬剤の使用を限定したこと。

大雑把な素材の変遷ですが、「新建材」といわれる石油系の素材はまだ100年もたっていないもので、耐久性においてまだ正確なデータがそろっていないということ、人体への安全性に関しても未知数です。また、鉄やガラスやコンクリートでさえも100年くらいの実績しかありません。これからの建材をとおして、未来を考えていくには少し頼りない素材であるということがわかります。木や石や土は、それとは反対に人間が有史以来建材として採用してきたもので普遍的な素材と考えてよいと思います。この2つの若い建材と古くから使ってきた素材を今とは異なる方法で組み合わせることが現代のテーマだと感じています。


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