工場はこれまで「生産を行う場所」として閉じられた空間でした。
しかし近年、企業の広報・ブランディング・採用の文脈で、
製造現場を“見せる”ことの価値が見直されています。
また、海外移転によって空いている一部の工場の利活用として「工場展示」が増えています。
1. 工場展示は「企業の透明性」を可視化する
工場展示がある工場は、
企業の姿勢がわかりやすく“目に見える”形で伝わります。
- 安全性
- 衛生管理
- 製造工程の精度
- 働く人の姿
- 技術力
これらは言葉で説明するより、見せる方が圧倒的に伝わります。

2. 工場展示は「どこを見せないか」もセット
工場展示で重要なことは、
- 何を見せるか
- どの順番で見せるか
- どの距離感で見せるか
- 何を見せないか
この4点を設計すること。
たとえば“品質の核”となる工程をきちんと見せていくと信頼が生まれ、
最後に完成品へ至るまでのストーリーが理解できます。
また他社との差別化している分野をしっかり展示アピールすることは、展示おいてとても重要です。
3. 工場展示は建築と展示が一体化して考える
工場展示は通常の展示空間と比べ規模の大きなものになっていきます。その時に注意すべき点として
- 光の入り方
- 視界にある障害物
- 機械音の聞こえ方
- 匂いや空調の扱い
- 設備や配管の見え方
これらの状況をうまく処理することで
工場は「企業の価値が体験できる場所」に変わります。
適切な素材や光の操作は、技術の精度や文化を
“感じさせる力”を持っています。

4. 工場展示は採用・教育でも強く機能する
工場展示は、学生や新入社員また株主やクライアントの理解を深め、
- 「ものづくりの魅力」
- 「企業の価値観」
- 「働く現場のリアル」
を体験として伝えられます。
体験を伴う理解は、紙の資料の3倍以上記憶に残ると言われています。
5. 南の島工房の考える「工場展示」とは
私たちは、
- 建築 = 空間の骨格
- 展示 = 伝える内容
- 素材 = 企業の質感、歴史
- 技術 = プロセスへの信頼性
これらを統合し、
“企業の製造文化” を伝える工場展示を設計します。
工場はただの設備ではありません。
そこには企業の歴史、生産者の想い、技術者の手仕事が宿っています。
それを体験化することが、工場展示の目的です。



