1| 導入|別荘は“使わない時間”まで設計する建築
別荘は、日常を便利にするための建築ではありません。
むしろその逆で、何もしない時間をどう過ごすか
その質をつくるための建築です。
朝、カーテンを開けた瞬間の光。
昼、静かに床に落ちる陰。
夕方、壁に滞留する柔らかな明るさ。
別荘では、そのすべてが体験になります。
今回は「素材建築」という考え方から、別荘・邸宅における
光と素材の関係について整理してみたいと思います。

2| 結論|素材は“選ぶもの”ではない
結論から言えば、別荘建築において素材は
デザインのために選ぶものではありません。
光との関係が定まったとき、素材は自然に決まります。
素材は主役ではなく、光を受け取り、空間の性格をつくるための存在です。
3| 光から空間を組み立てる
私たちは設計の初期段階で、
まず「どこから、どのような光が入るか」を考えます。
・直接的な光か
・反射光か
・時間帯でどう変わるか
別荘では、この光の変化そのものが滞在の価値になります。
光の方向が決まると、天井の形状、壁の厚み、
開口の位置が自然に導かれます。素材はその後です。
4| 素材建築とは何か
私たちが考える素材建築とは、「自然素材を使うこと」だけではありません。
素材建築とは、空間が要求してくる素材を
正確に読み取る設計手法です。
木は、光を受けて温度をつくる。
土や左官は、光を受け止めて滞留させる。
硬い素材は、輪郭を際立たせる。
どれも「見た目」ではなく、空間の性格を整えるために使われます。
5| なぜ別荘に素材建築が向いているのか
日常住宅では、動線や機能性が優先されます。
一方、別荘では「どのように滞在するか」がすべてです。
・長く座っていたくなるか
・静かに本を読めるか
・何もしなくても心地よいか
その感覚を支えているのが、光と素材の関係です。
素材建築は、別荘という用途と
非常に相性の良い考え方だと感じています。

6| よくある誤解
素材建築は、いわゆる「ナチュラルテイスト」ではありません。
装飾的でも、やさしさを演出するものでもない。
むしろ、空間のノイズを減らし、滞在の質を整えるための設計です。
見た目の印象より、そこにいる時間の感覚を重視しています。
まとめ| 別荘は「日常を取り戻す場所」
別荘・邸宅は、非日常を演出するための建築ではありません。
日常から離れた場所で、自分の感覚を取り戻すための建築です。
光と素材の関係を丁寧に整えることは、そのためのひとつの方法論です。
素材建築という考え方が、別荘で過ごす時間の質を
静かに支えてくれると考えています。







