素材建築は、建築を消費させないための設計思想である

現代の建築は、あまりにも速いスピードで
消費されているように感じます。

完成した瞬間が最も美しく、数年後には古く感じられ、
やがて更新や解体の対象になる。

そのサイクルは、建築を「使い捨てのプロダクト」に
近づけてしまっています。

素材建築は、この流れに対する
一つの明確な意思表示です。

それは、建築を消費させないための設計思想

だと考えています。

1| フランク・ロイド・ライトのユーソニアン住宅に学ぶもの

かつてアメリカの建築家フランク・ロイド・ライト は、
ユーソニアン住宅と呼ばれる住宅をつくり続けた時期がありました。

ユーソニアン住宅は、
単なる住宅シリーズではありません。
それは、ライトが提唱した有機的建築を、現実の社会の中で
どう成立させるか
という実験そのものでした。

彼は、建築の形や空間構成だけでなく、

  • 素材の使い方
  • 施工の方法
  • 生産システム
  • コストとの向き合い方

にまで踏み込み、理想を実践に落とし込もうとしました。

ユーソニアン住宅は、万人にとって完成された建築では
なかったかもしれません。
しかし、建築を「思想として社会に実装する」という姿勢は、
今なお大きな示唆を与えてくれます。

素材建築も、そのような存在でありたいと考えています。


2| 素材建築は、形ではなく「姿勢」です

素材建築は、特定のデザインや様式を
指す言葉ではありません。

木を使えば素材建築、
土を使えば素材建築、
という単純な話ではありません。

素材建築とは、建築をどう生み出し、
どう社会と関わらせるかという姿勢

そのものです。

  • 環境問題にどう向き合うのか
  • 建築工法をどう選び直すのか
  • 職人による生産技術をどう未来につなぐのか

これらを切り離さず、一つの建築として引き受けていく態度です。


3|消費される建築と、積み重なる建築

多くの建築が消費される理由は、完成した瞬間に
価値のピークを迎えてしまうからです。

見た目の新しさ。

流行の表現。
メディアでの評価。

それらは、時間とともに必ず色あせていきます。

一方で、素材建築が目指すのは、
時間とともに価値が積み重なる建築です。

  • 素材が馴染む
  • 使い手の痕跡が重なる
  • 空間が落ち着いていく

このプロセスそのものが、建築の価値になります。

消費されない建築とは、「古くならない建築」ではありません。
古くなりながら、意味を増していく建築です。


4| 建築生産の現場を含めて、建築を考える

素材建築は、設計図の中だけで完結する思想ではありません。

  • どのような工法を選ぶのか
  • 誰がつくるのか
  • どのような技術が使われるのか

こうした建築生産の現場を含めて、一つの建築だと考えます。

職人の技術は、効率化の中で切り捨てられがちです。
しかし、素材建築においては、その技術こそが
建築の核心になります。

職人の手を必要とする建築は、量産には向きません。
しかし、だからこそ消費されにくい建築になります。


5| 環境問題への言及は、避けて通れません

素材建築は、必然的に環境問題にも向き合うことになります。

  • 素材の採取
  • 加工のエネルギー
  • 輸送の距離
  • 廃棄の方法

これらを無視して、建築を語ることはできません。

素材建築は、環境にやさしい建築を
安易に標榜するものではありません。
むしろ、簡単に答えの出ない問題を
建築として引き受ける姿勢
だと考えています。


6| 建築を「物」ではなく「思想」として残す

素材建築が目指しているのは、建築を単なる物理的な空間として
終わらせないことです。

建築は、そこに立つだけで何かを語りかけてきます。

  • どのように考えられてつくられたのか
  • 何を大切にしているのか
  • どんな時間を想定しているのか

素材建築は、それらのメッセージを
空間を通して送り続ける建築でありたいと考えています。


7| 消費されない建築は、問いを残します

消費される建築は、答えを提示します。

消費されない建築は、問いを残します。

この空間は、

なぜこうなっているのか。
なぜこの素材なのか。
なぜ落ち着くのか。

素材建築は、使い手に考える余白を残します。
その余白が、建築を長く生かし続けます。


8| 素材建築は、未来への提案です

素材建築は、過去への回帰ではありません。
懐古主義でもありません。

環境、技術、生産、社会。
それらを踏まえたうえで、建築をどう未来につなぐかという提案です。

フランク・ロイド・ライトがユーソニアン住宅を通して
社会に問いを投げかけたように、

素材建築もまた、建築のあり方そのものを
問い続ける存在でありたいと考えています。


まとめ| 建築を消費させないために

素材建築は、効率の良い建築ではありません。
派手な建築でもありません。

しかし、
時間とともに意味を増していく建築です。

建築を消費させないために。

建築を思想として残すために。

素材建築という設計思想は、これからの時代に
ますます必要になると感じています。

それは、建築を長く使うための技術であり、
建築を深く考え続けるための態度そのものなのです。


素材建築について、
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※無理な営業や即決のご提案は行っていません。

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