
自然素材のメリットとデメリット
自然素材は、プラスチックや塩ビ製品などの新建材と比べて性能は高くないものが多いです。しかし、一つの素材で調質効果、断熱効果などいろいろな特性を兼ね備えています。それらをうまく組み合わせることで室内の環境を整えることができます。また人工的に作られたものではないので、再利用も可能であるし、また廃棄されるときは地球に負荷の少なく処理されます。 一方、自然素材は、ばらつきがあります。癖のある部分を含んでいます。例えば無垢の木には節があります。節は年月経つと乾燥してとれたりひびが入ったりします。素材は常に呼吸しているためで、完成してからも乾燥による収縮と膨張を繰り返し、徐々に落ち着ていきます。また、自然素材には、柔らかいものがおおく固いものをぶつけると傷がついたり、欠けたりします。シミや汚れにこだわる方は自然素材に向いていないかもしれません。自然素材のメリットとデメリットを見極めていくことがとても重要になっていきます。
それぞれの素材の特徴

無垢床材
次に考えるポイントはいた幅です。部屋の大きさに合わせて幅を考えます。小さい部屋では幅の小さいものを、大きい部屋では幅の大きいものを選定します。また部屋が変形しり曲がりが多い場合は継ぎ目が多くなるので幅の狭いものを選ぶと材のロスが少なくなりきれいに見えます。また、ヘリンボーンなどの特殊な床張を希望する場合は壁に近い部分の処理がうまくいくのかまた、材の取り換えを考えると汚れやすい部分に使用は控えたほうが良いです。
杉やヒノキなどは国産材も多くあります。節の多さが全体の雰囲気が変わっていくので事前に確認していくのが良いと思います。オーク、ナラ、ウォールナットやチークなどは外国産になります。外国産の広葉樹系のフローリングで注意したいのは、材の長さです。あまりに短いと目立ちすぎてしまいます。針葉樹系よりも表面が固いので傷がつきにくいです。
住宅用であればウレタン塗装よりはオイル仕上げの方が自然に見えます。作業場や体育館など床に負担の多いところではウレタン処理が有利になっていきます。つやを抑えたものが自然に見えます。

タイル
玄関回り、キッチン・浴室などの水周りに使用するのが多いです。まずは部屋の大きさ・形状に合わせてタイルの大きさを考えます。大きい部分には大きめのタイルを小さい部分や変形している部屋の場合は細かいタイルを選ぶのがおすすめです。床タイルのカタログには床用(外部用・内部用など)と明記しているので、基準にして選定してください。またモザイクタイルなどは目地が単位面積当たり増えてくるので滑り止めになり床仕様も可能になります。変形している部分にはモザイク系で対応できる場合と大きいタイルをカットして対応する場合があります。平面図にタイル割をして検討する必要があります。
タイルメーカのカタログで大まかに候補を挙げて、実際にショールームに行って確認します。設計段階で品番・色まで決めますが、なかなか判断できないときは現場で進行しているときに最終決定します。その時は価格の変更がないようにしたいと考えています。タイルは正方形を想像しますが、レンガをスライスしたことから生まれたタイルは2丁掛け(60*227㎜)小口タイル(60*108㎜)などと呼ばれ壁用のタイルとして普及しています。レンガタイルを使うと全体的に落ち着いた雰囲気になります。

石
タイルメーカなどが扱っている板状の製品はタイルと同様に施工していきます。タイルと異なり形状にバリエーションがあり、大判や変形などにも対応できます。タイルとおおきな違いとして、石材はカットしても表面と同じ素材が出てくるということです。キッチン台などでは石の小口が見せることで高級感を演出します。
また大谷石のようにブロック状を積み上げて塀にすることもできるので、外部などに使用すると植栽とも相性が良いのでお勧めです。
裏技ですが、割栗や砕石など下地材として使われる石材を仕上げにしていく方法もあり、自然素材ならではのバリエーションが隠れています。

土・漆喰
どちらも左官職人が行います。淡路島で若い時左官職人の師事を受けたこともあり、左官材料に関して日本の設計事務所の中で最も提案力のある事務所と思います。
漆喰は、石灰に「すさ」と呼ばれる細かい繊維と角又などの海藻ののりを混ぜ合わせたものです。外部でも使用できますが、軒などを出して直接雨風が当たるのは避けた方がいいです。白が基本ですが、顔料を混ぜることで様々な色の仕上げができます。2月の寒いとき、真夏の暑いときも施工は避けるべきで「白華」やドライアウトが生じてしまいます。
土壁は、畳のある和室と相性が良く、また様々な仕上げがあります。仕上げ専用と考えるのであれば石膏ボードの上に仕上げることもできます。本格的に土壁を考える場合は竹小舞から施工することもありますが、都会で行うには荒壁の搬入など設計段階から調整していく必要があります。土は、漆喰と比べるととても柔らかい素材です。襖や障子などと同様に丁寧に扱う必要がありますが、色あせることはなく長持ちする素材といえます。

瓦
きちんと耐震設計をすれば瓦屋根は最も耐久性のある素材で、金属板以上に機能的といえます。古い建物(1981年以前の木造建築)は耐震設計がされていないので、リフォームをする場合は構造の点検をまず行います。
瓦は、金属板と比べ、太陽光の反射、熱抵抗、雨音に対する静音そして耐久性などが優れています。屋根は最も外部の環境の影響を受ける部分です。屋根部はシェルターとしての基本的な建物の品質を決める部分です。
屋根は、外観のデザインにもかかわる部分なので屋根材の判断はとても大切です。また近年では、ソーラーシステムや天窓を付ける場合、瓦は雨仕舞が悪いのであまりお勧めしません。

モルタル仕上げ
一見土壁のようにように見えますが、このように雨がかかる外壁では土は塗れません。モルタルに顔料を使い土風に仕上げた掻き落としという技法です。昔はよく見かける表現ですが、薄塗ばかり流行っている現在ではほとんど見ることはできません。
近くに寄ってみるときれいな土の粒がは入っており、とても楽しい仕上げになっています。
自然素材といっても様々な素材と技術があります。全体のデザインとのバランスとコストを見極めて判断していかなければ決して成功しません。一つ一つの判断が最終的に長持ちする人々に愛される建物になっていくものと感じております。
(*この壁は親友でもあり、同士でもある左官職人 久住有生氏によるものです。)
