建築家選びで、よく聞く悩みがあります。
- 「話は感じがよかったが、本当に合っているかわからない」
- 「考え方はいいけれども、私たちの考えを取り入れてくれるだろうか」
- 「打合せが進むほど、少しずつ違和感が出てきた」
建築家との相性は、図面が出てから、建物が立ち上がってから、
はじめて気づくものだと思われがちです。
しかし実際には、相性の良し悪しは、もっと早い段階で判断できます。
この記事では、建築家との相性をどの場面で・何を見て判断すべきかを整理します。
1|相性は「最初の印象」では判断できない
まず大切なのは、第一印象で判断しないことです。
- 話しやすい
- 雰囲気がいい
- センスが合いそう
これの第一印象は、相性の「入り口」ではありますが、
判断材料としてはまだ不安でしょう。なぜなら建築は、
- 長期間の対話が必要
- 意見の食い違いの修正の仕方
- デザインの方向性
を伴うプロセスだからです。本当の相性は、問題が生じたときにこそ現れます。

2|相性は「設計の進め方」に出る
建築家との相性を見抜く最初のポイントは、
設計の進め方です。相性が合わないのかなと感じるとき
- 質問した時にごまかした回答をする
- 専門家として上から目線で話す
- 自分のデザインを推し進めて説明する
こうした対応は、一見プロフェッショナルですが、感覚のすり合わせが起きにくい。
相性が合う兆候
- 「なぜそう思われたのですか?」と丁寧に聞いてくる
- 要望を言葉で言い換えてわかりやすく話をしてくれる
- 結論を急がず、いろいろ意見を言ってくれる
相性の良い建築家は、要望を「条件」ではなくクライアントの感覚や漠然として意を受け取ろうとします。
3|相性は「違和感への向き合い方」で決まる
- 打合せの中で、意見が合わない時
- クライアントとして別な方向に変えたいのに固執する態度をとる時
- 設計者の頭の回転が速くて、クライアントの気持ちが追いつかない時
このときの対応こそ、相性を判断する最大のポイントです。
相性が合わない場合
- 「理論的には正しいですよ」と押し切る
- 「慣れれば気にならなくなります」と流す
- 違和感を“理解不足”として処理する
相性が合う場合
- 「どこが引っかかっていますか?」と立ち止まる
- 「言葉にならなくても大丈夫です」と受け止め変更事案として把握している
- 別案・別の考え方を提示してすぐに解決しない
相性の良い建築家は、違和感を設計のヒントとしてとらえすぐに解決しません。
4|相性は「説明の仕方」にも現れる
建築家が説明するとき、どんな言葉を使うかも重要です。
注意したい説明
- 専門用語が多すぎる
- 理論やコンセプトが先行する
- 「この方が正しい」という言い切り
これは、設計者が「納得させる側」に立っている極端に言えば上から目線になっている状態です。
5|相性は「打合せ後の感覚」で判断できる
意外に見落とされがちですが、相性は打合せが終わった後に
もっとも正直に表れます。
- 話し疲れていないか
- 頭ではなく、身体が納得しているか
- 余計な不安が増えていないか
相性が合わない場合、打合せ後にこんな感覚が残ります。
- ちゃんと理解してもらえただろうか
- 言いたいことを飲み込んだ気がする
- 次の打合せが少し憂鬱
相性が合う場合は、たとえ課題が増えても、
気持ちは軽くなっていることが多いです。
6|作品より「設計に対する考え方(思想)」を見る
建築家選びでは、どうしても作品写真を重視しがちです。
しかし相性を見るなら、注目すべきはデザインよりも設計に対する考え方(思想)です。
- 何を大切にしているか
- 何をしないと決めているか
- どんな言葉で建築を語っているか
作品は似ていても、思想が違えば、
完成する建築はまったく別物になります。
7|相性は「途中で変えられるものではない」
最後に、とても重要なことをお伝えします。
相性は、途中で良くなるものではありません。
- 話し合えばわかってくれるはず
- 回数を重ねれば慣れるだろう
- 進めば気にならなくなる
こうした期待は、多くの場合、なかなか達成することはないでしょう。
設計が進むほど、修正は難しくなり、違和感は大きくなります。
だからこそ、初期段階での判断が必要です。
まずは疑心暗鬼にならず、いろいろな質問を投げていく、
理解できるまで何度でも質問をする姿勢が大切です。
違和感を感じたときには素直に話していくことが必要です。

まとめ|相性は「建築の完成度」より重要な判断軸
建築家との相性は、
- 作品の好み
- 有名かどうか
- 実績の多さ
だけでは判断できません。そこは入り口でしかありません。
むしろ、
- 要望の聞き方
- 違和感への向き合い方
- 説明の姿勢
- 打合せ後の感覚
こうしたプロセスの中に、はっきりと表れます。
建築は、数ヶ月から数年にわたる共同作業です。
その時間を安心して預けられるかどうか。
それこそが、建築家との相性を判断する最も確かな基準です。







