企業が保有する「保養所」「研修所」「迎賓施設」「ギャラリー」「サテライト拠点」——。
これらは長らく“福利厚生の一部”として扱われてきましたが、
現在では 企業価値を左右する“非財務資産”として、投資家から再評価されている領域 です。
その理由は明確です。
“企業の人的資本、文化、ブランド、長期視点を、最も説得力のある形で示す場所だから”。
そして、この非財務価値を最大化する要素として、
自然素材、とくに「土」と「漆喰」が強い役割を持ちます。
本記事では、
- なぜ保養所は社員向けではなく“株主価値向上のための資産”なのか
- なぜ自然素材が企業の信頼性と長期性を高めるのか
- どのような施設が“投資家が評価する建築”となるのか
を、経営とIRの視点から解説します。
1|保養所は“経営とIRの核心を示す資産”へと変わった
投資家は今、事業内容以上に
「企業がどのような価値観を持ち、どれだけ持続可能な文化を築こうとしているか」
を重視しています。
その姿勢が最も表れるのが“場づくり”です。
① 人的資本経営の“実体としての証拠”になる
人的資本情報開示が義務化され、
投資家は次の点に強い関心を持っています。
- 心理的安全性の確保
- 学習環境の整備
- 社員の回復・健康支援
- 自律的成長を促す制度
しかし、制度やスコアだけでは企業の実態は分かりません。
空間づくりこそ、最も嘘をつけない“企業姿勢の証拠”です。
保養所・研修所は、
企業が社員の持続的な成長をどれほど重視しているかを、
投資家に対して直感的に示すことができます。
これは、福利厚生ではなく “人的資本への直接投資” です。
② 企業の“長期視点”を可視化する
保養所や迎賓施設は、多くの場合20〜30年以上保有する長期資産です。
そのため投資家は、
企業が“短期利益ではなく長期的成長を前提に経営しているか”
という姿勢を読み取ります。
特に自然素材を用いた建築は、
- 時間とともに美しく成熟する
- 廃棄サイクルが遅い
- 長期維持が可能
- 環境負荷を抑えた資産形成になる
という特性から、
企業の長期性・持続可能性を象徴する投資対象 として高く評価されます。
③ 企業の文化的価値を伝える。これは株主へのメッセージである
企業文化は、数字では伝わりません。
しかし、建築空間は
- 空間デザイン
- 光の質
- 素材の表情
といった“体験”を通じて、その企業の価値観を明確に示します。
これは、投資家に対して
「私たちの企業はこうありたい」という、言語化不可能な企業観の提示
であり、ブランドと文化を深く理解してもらうための媒体です。
企業文化を“体験で伝える”ことは、
IRにおけるもっとも強力な説得手法のひとつです。

2|自然素材を使うことは、株主に向けた“経営メッセージ”である
企業施設の価値は、素材選択で大きく変わります。
とくに「土」「漆喰」「木」「石」は、企業の姿勢を直接的に伝えます。
① 自然素材は“心理的回復”という人的投資効果を最大にする
自然素材の空間では、
- ストレスが低減
- 気持ちの切り替えが促される
- 創造性が高まる
という研究が多く発表されています。
これは単なる癒しではなく、
社員のパフォーマンスを安定させる“経営装置”
として機能します。
人的資本投資の視点から見れば、
自然素材は“費用ではなく投資対象”です。
② 素材選択は企業理念を翻訳する“ブランド言語”
企業には必ず“世界観”があります。
- 誠実
- 信念
- 信頼
- 文化性
- 歴史性
- 高い技術力
これらを建築にどう落とし込むかによって、
投資家へのメッセージは大きく変わります。
土と漆喰は、
- 長期視点
- 手仕事への敬意
- コンプライアンスに通じる誠実さ
- 品質へのこだわり
といった価値を空間に宿します。
素材は、企業の“人格”を形作ります。
③ 経年変化が資産価値を育てる
人工素材は10年で“劣化”し、更新コストが発生します。
自然素材は10年で“成熟”します。
これは、投資家にとって極めて重要です。
時間とともに価値が増す資産 を保有している企業は、
長期投資の対象として信頼されやすいからです。
3|投資家が評価する企業施設の5つの条件
数多くの企業施設を手がけた経験から、
株主価値を高める施設には共通点があります。
① 「誰への価値提供か」を明確にする
社員の回復か
採用力強化か
顧客への迎賓か
株主へのブランド提示か
設計目的が明確であるほど、投資効果が高まります。
② “企業らしさ”を素材で可視化する
素材はIR戦略です。
企業理念を空間化することは、最も強力な非財務情報開示です。
③ あえて都市を離れた立地が価値を持つ
非日常性は、企業文化の象徴となり、
投資家に“時間軸の長い企業”という印象を与えます。
④ メンテナンス可能な素材を選ぶ
土・漆喰は補修容易性が高く、
施設の長期保有コストを抑えます。
これは株主にとって重要な判断基準です。
これらは “忘れられない企業らしさ” として記憶に残り、
株主に強い信頼と共感を生みます。

4|自然素材の企業施設が株主にもたらす価値
自然素材を用いた企業施設は、
社員だけでなく、株主にとっても大きな価値を生みます。
① 人的資本の強化
心理的回復とパフォーマンス安定は、
企業価値の基盤そのものです。
② ブランド価値の明確化
“企業が何を大切にしているか”を
もっとも純度高く伝える手段です。
③ IRの説得力が上がる
数字では伝わらない“長期視点・誠実さ・文化性”を
空間体験で示すことで、投資家の理解が深まります。
④ 経年成熟する“資産”をつくる
自然素材は、価値を維持・向上させながら長期保有できる投資資産です。
⑤ 企業に対する“誇りと信頼”を形成する
企業施設は、社員と株主双方に
「この会社は信頼できる」
という深い安心感を与える象徴になります。
5|自然素材で企業施設をつくることは、株主への約束である
企業施設は、福利厚生ではありません。
“経営方針そのものを示す長期投資資産”です。
どこに建てるのか
どんな素材を選ぶか
どのような光と空間を設計するか
何十年かけてどんな価値を育てるのか——
そのすべてが“企業の誠実さ”であり、
株主への長期的な約束になります。
自然素材は、
数字では表れない“企業の人格・姿勢・時間軸”を
もっとも正確に伝える手段です。
私たちは企業施設を、
「企業の文化・信頼性・長期価値を株主に提示するための、戦略的な場のデザイン」
と位置づけています。



