別荘の使い方は、ここ数年で大きく変わりました。
完全な休暇の場だけでなく数日滞在しながら仕事もする場所
として別荘を考える人が増えています。
実際、
- 午前中だけ仕事をする
- 天気が悪い日は作業に充てる
- 都会より集中できる
といった声も多い。
一方で、こんな違和感も聞こえてきます。
- 仕事をすると、別荘らしさが失われる
- 結局、自宅と変わらない
- 気が散って集中できない
この記事では、別荘と在宅ワークがうまく両立する設計の条件を、
感覚と空間の両面から整理します。
1|別荘に「本格的な書斎」はいらない
まず結論から言います。
多くの場合、別荘に自宅と同じレベルの書斎は不要です。
理由はシンプルで、
- 別荘での仕事は常時ではない
- 集中の質が、自宅と違う
- 「籠もりすぎる」と別荘が日常化する
からです。
別荘で求められるのは、長時間の業務処理
ではなく短時間で深く集中すること
この前提を間違えると、別荘はただの「郊外オフィス」になります。
2|集中できる別荘ワークの正体は「切り替え」
別荘で仕事がはかどる理由は、設備ではありません。
最大の要因は、心理的な切り替えが起きやすいことです。
- 周囲の音が違う
- 視界が開けている
- 日常の動線から外れている
この状態で必要なのは、
完全に隔離された個室ではなく仕事に入れる“スイッチ”です。
設計で重要なのは、
仕事と休息が自然に切り替わる位置関係です。

3|集中できる場所は「部屋」ではなく「状態」
別荘で集中できるスペースは、必ずしも一室の書斎ではありません。
むしろ、うまくいっているケースでは、
窓際の一角で少し奥まった場所で背中が守られる位置
といった、状態としての居場所が用意されています。
ポイントは次の3つです。
(1)背中が守られている
人は、背後が落ち着くと集中しやすくなります。
- 壁
- 本棚
- 厚みのある左官壁
これがあるだけで、集中の質は大きく変わります。
(2)視線は遠くに逃がせる
仕事中でも、ずっと画面を見るより時々、視線を外すほうが集中は続きます。
別荘では、
- 森
- 空
- 壁の表情
など、刺激が少ない視線の逃げ場が重要です。
(3)完全に閉じない
音も視線も完全に遮断すると、集中は「疲れ」に変わります。
別荘で理想的なのは、気配は感じるでも、邪魔はされない
という曖昧な関係です。
4|自然素材は「集中を長持ちさせる」
別荘ワークで自然素材が効いてくる理由は、とても現実的です。
(1)刺激が少ない工業製品に囲まれた空間は、
- 反射
- 硬さ
- 均一さ
によって、知らず知らず疲労を生みます。
土・漆喰・木は、
- 光をやわらかく受け
- 音を丸め
- 視覚情報を減らす
結果として、
集中が途切れにくくなります。
(2)「正しい姿勢」を強制しない
自然素材の空間は、きちんと座らなければ
正しく使わなければという圧がありません。
これが、
- 身体の緊張を下げ
- 思考を柔らかくする
結果として、深い集中につながります。
5|照明が仕事の質を左右する
別荘で在宅ワークをする場合、照明計画は非常に重要です。
(1)明るすぎない
過度な明るさは、緊張を生み長時間の集中を妨げます
自然光+補助光、
これくらいが最適です。
(2)光源を直接見せない
目に直接入る光は、集中を分断します。
壁や天井をなでる光は、
- 視線を落ち着かせ
- 作業に没頭しやすくする
別荘ワークでは、デスクライトより
空間照明の質が重要です。
6|仕事を「持ち込まない工夫」も同時に必要
別荘+在宅ワークで失敗しやすいのは、
仕事が常に視界に入る終わりが見えない
状態をつくってしまうことです。
うまくいっている別荘では、
- ノートPCをしまえる
- 書類を視界から消せる
- 作業スペースが“消える”
工夫があります。
これにより、仕事が終わる→ 別荘に戻る
という切り替えが成立します。

7|別荘ワークがうまくいく最大の条件
最後に、最も大切なことです。
別荘+在宅ワークがうまくいくかどうかは、
どれだけ仕事をしやすいかでは決まりません。
- どれだけ短時間で集中できるか
- どれだけ気持ちよく終われるか
です。
別荘は、仕事を最適化する場所ではなく、自分を整える場所です。
仕事は、その延長に少しだけ入り込むくらいが、ちょうどいいと考えます。
まとめ|別荘ワークは「籠もらない設計」が正解
別荘+在宅ワークに必要なのは、完璧な書斎ではなく
状態としての集中スペースです。
- 背中が守られ
- 視線が逃げ
- 気配が遮断されない
そこに、
- 自然素材
- やわらかい光
が加わることで、仕事は「負担」ではなく別荘時間の一部になります。
別荘とは、働くための場所ではありません。
それでも、少しだけ働ける。そのバランスを保てる設計こそが、
別荘+在宅ワークの理想形です。




