素材建築の設計思想|自然素材のコンセプト
設計の姿勢

素材建築の考え方
素材を装飾としてではなく、空間の質を決める本質として扱う設計思想。素材の理解・現場の判断・経年変化という時間軸という視点から、建築を“消費されない存在”へと導きます。→

企業施設の設計
企業施設は経営戦略そのものです。ブランド体験の設計、素材選択、長寿命化の視点に加え、「成功事例の構造分析」を通して、成果につながる企業施設のあり方を解説します。→

別荘の設計
別荘は住宅ではなく、時間を設計する建築です。土地との関係、季節対応、素材の選び方まで、人生の質を高める空間づくりの考え方を紹介します。→

保養所の設計
保養所は福利厚生ではなく、企業文化を育てる装置です。居心地、規模計画、素材、運営までを総合的に捉え、使われ続ける空間設計の本質を解説します。→

設計事務所の選び方
建築は作品選びではなく、対話相手選びです。経営者との対話を重視し、現場で判断する設計手法とは何か。後悔しない設計事務所選びの視点を示します。→
それぞれの素材の特徴

無垢床材
無垢のフローリングを考えるうえで重要なのは床暖の有無です。床暖房用の無垢のフローリングを選定することをお勧めします。板厚が15ミリを超えると床暖房の効きが悪くなります。通常のものより乾燥がしっかりされているので熱による反りは抑えられています。
次に考えるポイントはいた幅です。部屋の大きさに合わせて幅を考えます。小さい部屋では幅の小さいものを、大きい部屋では幅の大きいものを選定します。また部屋が変形しり曲がりが多い場合は継ぎ目が多くなるので幅の狭いものを選ぶと材のロスが少なくなりきれいに見えます。
また、ヘリンボーンなどの特殊な床張を希望する場合は壁に近い部分の処理がうまくいくのかまた、材の取り換えを考えると汚れやすい部分に使用は控えたほうが良いです。
杉やヒノキなどは国産材も多くあります。節の多さが全体の雰囲気が変わっていくので事前に確認していくのが良いと思います。オーク、ナラ、ウォールナットやチークなどは外国産になります。外国産の広葉樹系のフローリングで注意したいのは、材の長さです。あまりに短いと目立ちすぎてしまいます。針葉樹系よりも表面が固いので傷がつきにくいです。
住宅用であればウレタン塗装よりはオイル仕上げの方が自然に見えます。作業場や体育館など床に負担の多いところではウレタン処理が有利になっていきます。つやを抑えたものが自然に見えます。

タイル
玄関回り、キッチン・浴室などの水周りに使用するのが多いです。まずは部屋の大きさ・形状に合わせてタイルの大きさを考えます。
大きい部分には大きめのタイルを小さい部分や変形している部屋の場合は細かいタイルを選ぶのがおすすめです。床タイルのカタログには床用(外部用・内部用など)と明記しているので、基準にして選定してください。
またモザイクタイルなどは目地が単位面積当たり増えてくるので滑り止めになり床仕様も可能になります。変形している部分にはモザイク系で対応できる場合と大きいタイルをカットして対応する場合があります。平面図にタイル割をして検討する必要があります。
タイルメーカのカタログで大まかに候補を挙げて、実際にショールームに行って確認します。設計段階で品番・色まで決めますが、なかなか判断できないときは現場で進行しているときに最終決定します。その時は価格の変更がないようにしたいと考えています。タイルは正方形を想像しますが、レンガをスライスしたことから生まれたタイルは2丁掛け(60*227㎜)小口タイル(60*108㎜)などと呼ばれ壁用のタイルとして普及しています。レンガタイルを使うと全体的に落ち着いた雰囲気になります。

石
タイルメーカなどが扱っている板状の製品はタイルと同様に施工していきます。タイルと異なり形状にバリエーションがあり、大判や変形などにも対応できます。タイルとおおきな違いとして、石材はカットしても表面と同じ素材が出てくるということです。キッチン台などでは石の小口が見せることで高級感を演出します。
また大谷石のようにブロック状を積み上げて塀にすることもできるので、外部などに使用すると植栽とも相性が良いのでお勧めです。
裏技ですが、割栗や砕石など下地材として使われる石材を仕上げにしていく方法もあり、自然素材ならではのバリエーションが隠れています。

土・漆喰
どちらも左官職人が行います。淡路島で若い時左官職人の師事を受けたこともあり、左官材料に関して日本の設計事務所の中で最も提案力のある事務所と思います。
漆喰は、石灰に「すさ」と呼ばれる細かい繊維と角又などの海藻ののりを混ぜ合わせたものです。外部でも使用できますが、軒などを出して直接雨風が当たるのは避けた方がいいです。
白が基本ですが、顔料を混ぜることで様々な色の仕上げができます。2月の寒いとき、真夏の暑いときも施工は避けるべきで「白華」やドライアウトが生じてしまいます。
土壁は、畳のある和室と相性が良く、また様々な仕上げがあります。仕上げ専用と考えるのであれば石膏ボードの上に仕上げることもできます。本格的に土壁を考える場合は竹小舞から施工することもありますが、都会で行うには荒壁の搬入など設計段階から調整していく必要があります。
土は、漆喰と比べるととても柔らかい素材です。襖や障子などと同様に丁寧に扱う必要がありますが、色あせることはなく長持ちする素材といえます。

瓦
きちんと耐震設計をすれば瓦屋根は最も耐久性のある素材で、金属板以上に機能的といえます。古い建物(1981年以前の木造建築)は耐震設計がされていないので、リフォームをする場合は構造の点検をまず行います。
瓦は、金属板と比べ、太陽光の反射、熱抵抗、雨音に対する静音そして耐久性などが優れています。屋根は最も外部の環境の影響を受ける部分です。屋根部はシェルターとしての基本的な建物の品質を決める部分です。
屋根は、外観のデザインにもかかわる部分なので屋根材の判断はとても大切です。また近年では、ソーラーシステムや天窓を付ける場合、瓦は雨仕舞が悪いのであまりお勧めしません。

モルタル仕上げ
一見土壁のようにように見えますが、このように雨がかかる外壁では土は塗れません。モルタルに顔料を使い土風に仕上げた掻き落としという技法です。昔はよく見かける表現ですが、薄塗ばかり流行っている現在ではほとんど見ることはできません。
近くに寄ってみるときれいな土の粒がは入っており、とても楽しい仕上げになっています。
自然素材といっても様々な素材と技術があります。全体のデザインとのバランスとコストを見極めて判断していかなければ決して成功しません。一つ一つの判断が最終的に長持ちする人々に愛される建物になっていくものと感じております。
(*この壁は親友でもあり、同士でもある左官職人 久住有生氏によるものです。)
