12の住戸を配置した集合住宅。スパニッシュ様式を採用したデザインで外壁にはアイアンワークを採用しています。日本では大正時代からスパニッシュ様式として高級住宅で発展したスタイルで、主に西海岸アメリカの影響を受けています。スペインの地中海の乾燥した気候とアメリカ西海岸の気候が似ていることもあり、日本ではあか抜けた開放感のある雰囲気が湿気の多い日本の雰囲気には異質に感じやすかったのでしょう。

屋上に通じる外階段は、前面ファサードに位置し、建物を特徴づけています。各住戸のバルコニーは有機的なフォルムとしてデザインしています。難しい形態と思われるかもしれませんが、2次元で構成できる曲面で現場の曲げべニアの仮枠で作れる造形でとして、負担の少ないデザインとしています。

外部には、漆喰の白と木材の茶色がコントラストをつくっています。特に外廊下の玄関部分には庇が廻っているので、木材を採用することが可能であり、中庭に植栽を入れることで居心地の良い半外部空間としています。

北側の造形も南西側の正面ファサードと一貫デザインを採用しています。四角いモダニズムの流れと素材感のあるスパニッシュ様式が程よくブレンドしたデザインといえるかもしれません。

中庭の断面パースからさほど大きくない建物と感じると思われるかもしれませんが、段差を活用した複雑な半外部空間では、高さ方向の広がりを感じるようにデザインしています。通常の共同住宅との違いが感じられるかもしれません。

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