琵琶湖周辺の伝統的な建築3 土蔵 折れ釘

土蔵などの壁におわん型の中心に釘のような金物が出ているのをよく見かけるが、この飛びだた部分は「折れ釘」といい、根元の八角形の板(通常は漆喰でおわん型につくられる)は「ツブ」とか「まんじゅう」とか呼んでいる。
この用途としては以下とされている。
1,農具を掛ける
2,土蔵の壁の塗り替えや屋根の補修の足場となる。
3,火事の時の足掛かりとする
4,装飾的な意味合い
この写真の金物はツブのない中央の折れ釘だけが出ている土蔵である。外壁の板壁を固定するために折れ釘は役立っている。
また近隣で火災が発生した際にはこの金物のピンを外していた板壁を蔵から切り離すことで延焼を防いでいる。
名古屋地域では45角の角材でおおざっぱに押さえているが、この地方ではピンでさりげなく抑えている。京都に近くなるとデザインが粋である、昔の職人の技量を感じてしまう。

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