土地探し・物件探しの建築士からのアドバイス(その1)

土地探し

建築を建てようと思っている人の多くは、建物のデザインをいろいろ考える前にどこに住むのかという大きな問題にあたります。土地探し、物件選びは、一生涯腰を据えるかもしれない大切な選択です。できるだけ多く情報を集め、最良のものを選んでもらいたいと考えています。通常、土地探しに参加しない建築士の人は多いかと思いますが、近年、建築の用途が多様化し、土地の探しからアドバイスをしなければうまくいかないケースが出てきています。不動産屋とは異なる角度で土地を見ていると思います。

ここでは、私がお手伝いしている関西地方の物件の例を上げて解説していきたいと思います。

物件情報の見方

1)上の欄から見ていく (土地所有の目線で考える。)

   ・基本的に土地を所有する立場で条件にマッチしているかということに注目していきます。

   ・土地の大きさ・価格、公共交通からのアクセスなど土地の価値を分析していきます。

   ・上にあげた画像では「土地所有」という項目までが登記のデータで、下は建築・開発上の法規制のデータです。
    不動産屋(宅地建物取引士)からご説明をうけてください。

2)下の欄から見ていく(建物・開発の目線で考える。)

  希望する建物・施設にふさわしい物件かどうか創造することが求められます。特殊な物件では、不動産屋の人でも理解できない部分はあるかと思います。

1、地目 <宅地>

宅地というものがほとんどだと思います。それ以外で注意してほしいのは隣地に「水道用地」や「公園」などの地目です。一見道路に接道していると思われても、水路がある場合があります。その場合、水路の上にまたいで通路を作る必要があります。その部分の使用許可を所有者に認めてもらう必要があります。農業用水路の場合、地元の農業組合の許可が必要になるので事前に調べる必要があります。

2、土地の状況 <更地>

更地であれば問題ないですが、既存建物がある場合、木造・鉄骨構造の場合であれば解体・撤去は問題少ないです。通常は購入後すぐに解体することはせず、開発する内容が確定し、工事に取り掛かる初めの段階に行います。既存の建物が住宅の場合、固定資産税の控除対象になっているので、ぎりぎりまで残しておくほうが節税できるからです。また、RC造の建物が既存としてある場合は、解体する日数・費用など建築計画の部分で注意が必要です。

3、接道条件 <一方 公道 西5.0m 接道 14.7m>

一方通行で行き止まりの道です。 建築を行う場合は、2m以上の接道が必要ですが、14.7mあるので十分です。

旗竿型の敷地の場合、塀の位置や電柱の位置など確認する必要があります。また火災の際に消防車が救助できるために3階建ての場合、道路から20m以内にバルコニーが必要になります。電信柱や障害物があるとバルコニーが認められない場合があるので、実地見学の際には確認が必要です。

4、都市計画 <市街化区域>

市街化区域では用途地域が定められています。市街化調整区域では建築制限があるので事前に調査が必要です。都市計画区域外の場合、インフラの整備を確認する必要があります。特に携帯電話やインターネット環境については不動産物件には通常記載されないので調べる必要があるかと思います。

5、用途地域 <第1種中高層住居専用地域>

基本的に住居専用地域なので、住宅以外の用途を加える場合は制限があるので事前に確認していく必要があります。近年は民泊利用で住宅を建てる場合もあります。住宅であれば180日以内の営業であればこの地域でも利用可能です。

6、建蔽率 <40%>

建蔽率とは建物の面積/敷地面積のことです。建築基準法では、緩和事項が容積率と比べると少ないです。具体的には角地だと10%プラスなどの規定がありますが、記載されている数値が基本と思ってください。駐車台数など考える基準になります。

7、容積率 <200%>

容積率とは建物の延べ床面積/敷地面積のことです。容積率緩和規定が多いので注意が必要です。特に前面道路の幅を把握する必要があります。物件記載では200%書かれていても、道路幅によっては少ない数値になります。建物の階数を決めるポイントなります。

8、地域地区 

景観地区、歴史的風土特別保存地区などが建築開発で制限される項目があります。その土地の条例で決められているので、実際に購入するときもしくは購入後に関係官庁に調べて規制について把握していく必要があります。道路面からのセットバックや塀の構造など細かな制限がかかります。物件情報では別に記載されている場合があります。

9、学校

市や県レベルの条例に規制がある場合があるので注意が必要です。住宅関係は特に問題ないです。

10、設備 <ガス・上下水道>

 ガス 都市ガスかプロパンガスのどちらかになりますが、ランニングコストとしては都市ガスの方がメリットあります。水道 <下水 公共下水> 道路に下水管があるのでそこに接続すればいいです。ない場合は浄化槽の設置となります。<雑排水> 雨水と宅内の汚水を混ぜて放流することができるという意味です。地域によっては雨水浸透桝を設置しなければいけない場合もあります。

11、備考 <火災、傾斜地あり>

 特に注意する項目です。その土地の個別の内容なのできちんと理解する必要があります。上記の場合火災で前の家が消失しているとのことなので、火災原因や状況や年代を不動産屋に詳しく聞く必要があります。
傾斜の規模を把握する必要があるので現地調査が必要になります。

物件情報で集めたものから大まかに絞っていき実際に見学することになります。次回は実際に土地見学した時のポイントを紹介したいと思います。

物件情報には専門用語が多いため、知らないうちに購入するケースがあります。できるだけ理解していることが必要だと思います。もし購入希望の土地があり、建物の規模や条件を詳しくお聞きになりたい場合は、コメント欄にもしくはメールでお問い合わせください。

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